役立たないかもしれない?
エジプト旅行の基本知識
まったく役立たないかもしれない小話
方位磁石の北は本当の北か?
 北を調べる時にみなさんはどうしていますか? 私はエジプトに行くときには、手っ取り早く方位が分かる磁気コンパス(方位磁石)を持っていきます。

 そもそも北(真北=しんぼく)とはなにかといえば、地球の自転軸が基準になっている方位なわけで、その北の延長にある星が「北極星」(若干ずれているが)であり、地上では南北の極点になるわけです。磁石のN極が北を指すことを利用しているのは、小学校で習った常識といえるでしょう。けれど、この磁石が示す北は、真北ではなく「北磁極」なのです。そして、この北磁極は北緯76.2度、西経100.0度のカナダ北極圏のバサースト島にあることがわかっています。

 単純に考えれば、バサースト島と北極点の中間点で磁気コンパスを見ると、磁石は北極点ではなく北磁極の方向、つまり180度反対を指すことになるのです。

 この真北と磁石の北の角度のずれを「偏角(へんかく)」といいますが、このずれは、地域によって当然異なります。たとえば東京でコンパスをみると、約6.3度、真北より西に偏っています。つまりコンパスで見つけた北に対し、約6.3度東の方角が本当の北になるというわけです。このぐらいたいしたことがないと思うでしょうが、アメリカなどでは20度以上の誤差がありますから、海外旅行のさいには無視できないのです。

 私たちは北がS極(磁石のN極が北を向くのは、北が逆のS極だからです)と思いこんでいますが、実際には地球ができてから、約9回、N極とS極が反転しているそうです。そして、数千年後には、次の反転がやってくるともいわれています。しかし、なぜ地球が磁場を帯びているのかという問題は、日本も含めて世界各地で研究が進められていますが、実はまだはっきりとはわかっていないのです。

 なぜ、こんな話を出したかというと、2001年9月にオアシス巡りをしたときの四駆のドライバーに、コンパスをプレゼントしたからです。砂漠を横断するとき、お祈りの方角を知るために、「ぜひ欲しい」とねだられたのですが、あとになってエジプトの磁偏角が気になったのです。まったく違う方位を向いてお祈りをしていたら申し訳ないな〜と。調べて見ると、エジプトはリビア国境に近いほど、偏角が「0度」で、シナイ半島当たりでも「2〜3度」東に偏る程度でした。とりあえず、これで、エジプト観光において、神殿やピラミッドの入り口などの方位を勘違いしていないこともわかり、ひと安心です。

(Nadia)