Column エジプト文化交流3
エジプト人の言葉
(Karyma)

 エジプトの公用語はアラビア語ですが、そのアラビア語は正則アラビア語(フスハー)ではなく、エジプト方言(アンミーヤ)が話されています。
 でも、エジプトで観光に携わる人々のほとんどは英語を話しますし、ときにはドイツ語・フランス語・イタリア語を話す人もいます(ただし街中に走っている流しのタクシーは、アラビア語しか解らない人も多いです)。彼らにとってそれは、生活をしていく上で必要不可欠だからだと思います。バクシーシをねだる貧しい家の子供たちほど、多彩な言語を話しているかもしれません(良い家の子供たちは学校でしか習わないので、英語を話せないことが多いです)。
 ただし、彼らエジプト人の話す英語には特徴があります。アラビア語のアルファベットには「P」を表す文字がなく、「P」はすべて「B」で表記しているためか、ほとんどの場合「P」が「B」に置き換えられています。
 例えば「ピラミッド」→「ベラミッド」、「ペン」→「ベン」となります。
 また、もう1つの特徴は、「L」と「R」の文字をすごく巻くことです。
 「エアポート」→「エアボルト」、「アフター」→「アフタル」になります。
 この法則を覚えておかないと、何を言っているのかさっぱり分かりません。また彼らに話すときも、この法則を使って話した方が通じます。私はすっかりこの英語に慣れてしまったために、逆にアメリカ人の英語が分からなかったり、「アフタル」などと言ってしまって慌てて言い直すという弊害が生まれて困っています。
 しかも、母国語が英語ではないので、英語を話すときも、きちんと文章を考えて話すより、単語を並べた方がかえって通じることがしばしばです。
 私の英語は「気合いで話す英語」と言われていますが、エジプトに行くと英語が堪能になった気になるので不思議です。でもエジプト人にしか通じない英語って……。
 それともうひとつ、挨拶などのいくつかのアラビア語を覚えておくといいでしょう。日本人旅行者のほとんどは英語しか話さないので、アラビア語をひと言話すだけで、待遇がまったく違ってきます。おみやげ物屋さんに行ったときにアラビア語で挨拶をするだけで、値段が変わってくることもあります。
 ちなみに私のアラビア語は「根性で話すアラビア語」です。アラビア語を話そうとする努力をみせれば、相手もそれに答えてくれることでしょう。私たちが長年つきあっている現地の知り合いは、私たちの話す英語・アラビア語・日本語の3カ国入り乱れた言葉も、的確に理解して受け答えしてくれます。
 ときには、日本人の仲間が理解できない英語を話すと、逆に彼らの方が英語で通訳してくれたり、日本語で言っているのに答えてくれたりと(彼らは日本語がわかりません!)、とてつもない理解力を持っています。
 まぁ付き合いが長いので、行動パターンを読まれているという噂もありますが(笑)。
 最初は言葉も解らない国で不安になることも多いかもしれませんが、こんな私たちを受け入れてくれる人々がたくさんいます。話す努力さえすれば、彼らはきっと受け入れてくれるはずです。